きっとこれを読んでいる頃には、僕はきみの前から姿を消しているはず。
だけど心配しないで。僕は自分の意志できみの前から消えたのだから。

そして、探さないで欲しいんだ。


僕はこの戦争でたくさんの人を殺してしまった。『戦争だから』って言い聞かせてきたけど、今はもうその戦争も終わった。だからと言って死んでしまった人達は戻らない。
死んでしまったきみの友達も僕の友達も戻ってくることはない。戦争で死んでしまった人はもう戻ることはないんだ。
そんなことは僕もわかってる。
僕には何が出来るのかって考えた。一生懸命考えたけど、僕に出来ることなんてほとんど無いに等しい。
こんな僕でも出来ることは『忘れないこと』とか『罪の意識を持ち続けること』くらいだと思うんだ。

きみは今、何をしてるのかな?
僕はきみを手伝うことも、助けることも出来ない。一緒にいても多分役に立てないと思う。
でもそれだけが理由で離れたんじゃないよ。
僕は思うんだ。きみの隣には僕なんかよりもふさわしい人がいるんじゃないか、って。いつかきっとそんな人が現れるんだと思うよ。
だから僕はきみと一緒にいてはいけない。


きみは幸せに生きていて欲しいんだ。


だから探さないで。
僕のことなんて忘れてくれてかまわないから。

今までいろいろありがとう。


僕は今でもきみが大好きだよ。
いつまでも忘れないから。

ずっと愛してるよ、アスラン。















こんな手紙がキラの部屋の机の中からみつかった。

もうキラが姿を消して半年になる。
戦争が終わってすぐに姿を消したキラ。姿を消す前日まで普通にしていたから、誰も気付かなかった。
キラが姿を消してから俺は死に物狂いで探した。

――けれど、どこにもキラはいなくて。
どうすればいいのかわからなくなっていた時にみつけた手紙。
ただ読んでいるだけなのに、まるでキラがここで読んでいるかのように頭の中ではキラの声が聞こえた。

『僕はきみを手伝うことも助けることも出来ない』
そんなことない!

『一緒にいても役に立てない』
一緒にいてくれるだけでいいんだ。

『僕なんかよりもふさわしい人がいる』
そんな人いないよ、キラ。俺はお前だけがいればそれでいいんだ。


『僕のことなんて忘れてくれてかまわないから』
忘れられるわけ無いだろ!そんなこと俺には出来ない。


毎日のように夢に見るんだ、キラのことを。
いつも楽しそうに笑ってるキラを見てると、こっちまで笑みがこぼれる。これが夢じゃなければいいのに、と思うと急に現実に戻される。

――でもそこにキラはいなくて。

毎朝、泣いて起きるなんておかしいだろ?
でも、キラがいなくなってからは毎朝そうなんだ。





手紙をみつけてから少しして、あることに気が付いた。
手紙の最後の余白に字が書いてあった跡をみつけた。多分、書いたけれども消してしまったのだろう。必死でその部分を鉛筆で薄く黒く塗りまくった。



――涙が、こぼれた。

白かった余白部分は黒くなってしまったけど、そこには白い字である言葉たちが浮かび上がっていた。



"僕は今でもきみが大好きだよ。
いつまでも忘れないから。

ずっと愛してるよ、アスラン。"




胸が張り裂けそうだった。
この思いをどうすればいい?

苦しくて、悔しくて……
キラを独りにさせてしまっていることが苦しくて。
キラの想いに答えることすら出来ない自分が悔しくて。




ねぇ、キラは今どこにいるの?
帰ってきて欲しいんだ。
俺は愚かだからキラの想いすべてに答えてあげることは出来ないかもしれないけど、ふたりで一緒に生きていきたいんだ。
『幸せ』に生きていきたいんだ。

俺もキラが大好きだよ。
忘れることなんて出来ない。
誰よりもキラを愛してる。


だから戻っておいで。
独りですべてを抱え込もうとしないで。
キラが俺を、じゃなくて俺がキラを助けたいんだ。


だから帰っておいで、キラ。




この想いが届かないものだとしても、いつまでも俺は想い、祈り続ける。

いつか届く日を、信じて。


-end.



後書き。
初アスキラ駄文。ダークっぽいけど、微妙な灰色っぽさ??

なんだかアスキラと言うよりアス→キラな感じですね。
キラは生きています、どこかで。

あ、書くの忘れてたけどED後の設定とか軽く無視してます。ぶっちぎりで(汗)
なんとなく種デスが始まる前にアップしたかったのです。良かった、アップ出来て。

後書き長くて申し訳ない…

2004/9/19



※追記(2005/11/ 1)
お題から移動してきました。
この駄文は本当はこの題名を使いたかったのですよ。
この題名の方があってるような気がするんですよね。